| 2003年、中三の12月。受験戦争激化時期。 あの日俺は最も恐ろしい決意をした。 会った途端、「別…れ…よ…う…」という言葉が出てきた。声は震えている。 彼女は驚いて、「ぇ…なんで?」と尋ねた。彼女の声も震えている。 何故こういう結果になってしまったのか。そのいきさつを話そう。 まず、俺は去年の12月。彼女に告白された。彼女は、俺の真剣な時とふざけてる時のメリハリ、誰にでもふりまく優しさが好きだったらしい。 俺は何も考えず、「うん。」と答えてしまった。これが間違いだったのかもしれない。 2004年四月。付き合ってから四ヶ月。楽しい時を過ごしていた。だが、もう超えられないようなハードルにあたった。 「恋愛感情とどこか違う。」「好きな人と会う時のようなドキドキ感が無い。」そう、思い始めた。 その後が苦しかった。好きであるように振りまかなければならない。さっきいった、「誰にでも振りまく優しさ」というのは言い変えると「人を傷つけるのが怖い」という感情と同じなのだ。 しかし、2004年八月。受験戦争の勉強、彼女の嘘の応対などの疲れが溜まって、ついに人を傷つけても、何とも思わなくなってしまった。 その頃、そんな俺を、慰めてくれたのは、塾で当時同じ席だった、矢島 裕子(やじま ゆうこ)という子だった。俺の心に気づき、慰めてくれた。俺はその時、「この人とならいてて楽しい、嬉しい。一緒にいたい。」と思った。「好き」という感情が徐々に強くなりだしてきた。 だが、矢島は、俺が付き合っている事を知っていた。それが1番苦しかった。「恋愛感情の無い人と付き合ってて、恋愛感情のある人と付きあえない。」こんな矛盾した状況は初めてだった。 そして、矢島のおかげで成績はどんどん高揚し、いままで「いけない」と思っていた高校でもたまにA判定がつくようになった。俺は決心した。「矢島と同じ学校に行く」と。 12月。今の事だ。もう限界が近づいてきた、どうしようもなく、別れる事にした。 「これで、さようならだろうなぁ」と思っていたが、実は重大なミスを犯していた。 俺の志望高校を彼女に言ってしまったことだ。彼女は同学年。だから、同じ学校、クラスになる可能性がある事を… ((序章完)) |